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第23回 20年正月 [中巻]

「第23回 20年正月」 掲載’08年(H20年)1月22日号 (発売日 同年1月12日ころ)

最大の謎回

 全編が”愛國イロハカルタ”のみで構成される今回は、変化球を通り越して、もはや”魔球”の回である。 なにしろ、コミックス中巻を上から見ると、この回の部分だけが真っ黒な筋となって見える、本作品で最大の謎回だ。 のちの20年7月のすずの独白より、この回は正月に家族でかるた大会をやっていた時のことと明かされるが、実は本編で語られることのないサイドストーリーが散りばめられており、なかなか侮れないのだ。 そして...

イ 神風神話の始まり

 愛國かるたの絵柄は、オリジナルを踏襲したものと、この作品独自に描き下したものがある。 イの札は元寇(今は蒙古襲来と言われてるの?)によって神風神話が始まったことを示していて、絵柄はオリジナルとほぼ同じ。 フビライ・ハンのモンゴル帝国による我が国への本格侵略である”元寇”は、1274年の文永の役と1281年の弘安の役からなる。 いずれの戦いもモンゴル軍の圧倒的な武力に苦しめられたが、どちらも突如として発生した暴風雨がモンゴル軍を直撃し、結果 日本はモンゴル軍撃退に成功したと言われている。 これにより、日本は神に守られた国なので国難の時は必ず神風が吹くという、いわゆる神風神話が起こる。

 神風神話は戦中では、戦局の悪化した18年の歴史の授業から取り入れられるようになった。 ステレオタイプの戦時ものでは、「日本は神の国じゃ、いまに神風が吹いてアメリカをやっつけてくれる!」というようなセリフが必ず挿入されていた。 この作品では、神風は戦争が終わった後に皮肉として登場する。 また、同様に本作品では神風特攻隊の話も出て来ない。 ひねくれてるなぁ。

ル、ヲ、ワ、レ、ナ、ラ、ヤ、ユ、セ 久夫の生活

 本編ではほとんど登場しない久夫が、下関での生活に次第に馴染んでいき、友達を作り、活き活きと生活する様子が描かれる。 久夫が貯金をするのは戦費のためでなく、呉への汽車賃を貯めるためだろう。

ヘ 日本の南洋進出

 オリジナルでは南洋の現地の少年が日の丸を持っている図柄だが、本作では南洋の島々と日の丸になっている。

ヨ、タ だから青葉は出港しないって

 本作では遭難して鷺に助けられる水原が描かれているが、オリジナルでは ヨ=ふんどし少年、タ=お辞儀をする少女が描かれる。

ツ つぎの日本をになう若夫婦

 オリジナルは万歳している少年、本作では周作とすずの若夫婦。

ノ、オ 桃太郎

 この桃太郎のモデルは誰? オリジナルは典型的な絵本の桃太郎。

ク くゎ!

 鍬だ! お父さんの鍬がもうこんなところに出て来てる!

コ ク!ド!ク!ド!

 オリジナルは小学生が何かしゃべってる絵。 本作では径子さんのお説教。

エ 靖国神社

 オリジナルでは靖国神社の「大村益次郎像」と鳥居の一部しか映ってないが、本作では社殿とお参りする男女の姿が。 次回のお父ちゃん、お母ちゃんを暗示してるのか?

シ やはり出征してた森田のおじちゃん!

 オリジナルでは鉢巻きを締める体操着の女の子だが、本作では第1回で海苔の収穫を手伝うすずが。 ここにきてようやく、森田のおじちゃんが出征していることが明らかにされる。 森田のおじちゃんは30代半ばで働き盛りと思われるが、この年代の男は軒並み戦争へ連れて行かれてるのだ。 

ヱ 挺身ガールズ

 オリジナルは男二人だが、本作ではすみちゃんと同僚。

ヒ リン

 オリジナルは桃の枝と雛人形だが、本作ではリンが。 リンは”ロ”の札にも出演。

間違ってる札

 イロハカルタを一通り見まわすと、本作のある札に間違いがあるのに気付いた。 これを見つけた時は ちょっと身震いした。 おそらく作者は意図的に間違って描いている(正確に言うと”描いていない”)と思われる。 なぜなら、それは下巻のある重要なシーンに関わる内容だからだ。 私は、そのシーンの布石がどこかに隠されてないか探していたんだけれども、まさかこんな所に、こんな形で忍ばせてあるとは… ちなみに劇場版では、これを全く違う手法で表現している。 それは、私が最初に思いついたのと同じ表現での暗喩だった。(本作ではやってない) それは何かは、当該の回で。

 この回が掲載された次の号である’08年(H20年)2月5日号(同年1月22日ころ発売)は休載。 代わって、1月12日(ころ)にコミックス上巻が発売されている。

 1月20日、マリアナ方面軍総司令にカーチス・ルメイが任命される。 ルメイは着任すると早速、日本本土爆撃の手法を変えさせた。 これまでのB-29の爆撃は、日本機に迎撃される恐れの少ない高度1万メートル弱で行っていたものを都市の上空1500~3000メートルに変更させた。 この高度変更で上空のジェットストリームの影響が無くなったこと、投下する爆弾の拡散が少なくなったことにより爆撃精度は大幅に向上、爆弾がより高密度で地上に到達するため、特に焼夷弾の威力が大幅に増した。 地上の人々は文字通り炎のじゅうたん爆撃で逃げ道を完全に塞がれ、より多くの一般市民が犠牲になった。 ルメイの名は日本国民にも知れ渡り、”鬼畜ルメイ”として竹槍訓練の的にもなった。 

 そのルメイだが、39年12月に日本政府より勲一等旭日大綬章を授与された。 航空自衛隊の創設に貢献したからという理由である。 なお、勲一等の授与は天皇からの授与が通例であるが、ルメイの時は当時の航空幕僚長からの授与であった。


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第22回 19年12月 [中巻]

「第22回 19年12月」 掲載’08年(H20年)1月8日号 (発売日 H19年12月18日ころ)

拒むすず

 このブログは男女の色恋ごとは専門外なので割愛するが、りんどうの茶碗を見なければ受け入れたのだろうか?

海軍よもやま物語

 すずが当たり前の生活をしてることに対し、自分が軍の組織の中で理不尽な日々を送っていることを語る水原。 この作品の中で軍の内情が描かれる貴重なシーンだ。 水原のような下級兵士の理不尽な日常を描いた書物が昭和の頃にはベストセラーになっていた。 光人社の「海軍よもやま物語」、「陸軍よもやま物語」などだ。 シリーズ化されて、他社からも類似の書物が出ていたが、当時のことを知る人が少なくなるにつれ、古書店でも見かけなくなっていった。 2010年ころに光人社から新装版が発行されている。

合祀を拒否する水原

 自分を一緒くたに英霊にするなという水原の考え方は、当時としては大変進歩的というか、絶対に公の場で言ってはいけないことだ。 お国のために戦って死んだら靖国にまつられるというのが当時の常識だったからだ。 実は、現在の自衛隊員も公務中に死ぬと、在籍部隊が属する県の護国神社に合祀される。 私が中学時代、私の地元の山口県で、殉職した自衛官の夫を遺族の了解なしに護国神社にまつるのは信教の自由に反して違憲だとする裁判があった。 (自衛官護国神社合祀事件) 

 実は、この裁判の一審を担当した山口地裁の判事が私の同級生の父君だった。 当時の私は文字通りの”中坊”だったので、「自衛隊は違憲」という立場だった。(憲法に自衛権って書いてないから) 一審山口地検の判決は私たちが中学校を卒業した直後の54年3月22日に出た。 原告の主張を全面的に認め、”合祀は違憲”という、当時としては画期的な判決だった。 同じ高校に進学していた私は、新学期に「お前のお父さんスゴイな」と、同級生に言った覚えがある。 同級生は特に感想を言うでもなく、少し困惑した顔をしたようにも見えた。 私たちの校区には土地柄、自衛隊員の子息も多く、ひょっとしたら周りからいろいろ言われていたのかもしれない。 この判事が、その後どのように処遇されたのかは私は知らない。

 この裁判は二審の広島高裁でも違憲とされたが、最高裁で逆転で合憲とされた。

羽ペンのメッセージ 

 すずが水原の手帳に羽ペンで書いたメッセージ。 ”立派に成って呉れて”というのは、のちに水原の母に言った、”立派になっとりんさった、帝国海軍の誇りじゃ思いました”と言ったのとは意味合いが違う。 よく見ると、鷺が乗っているイカダには白旗。 軍規と誇りとかどうでもいいから、何があっても生きてほしいという、すずの願いが伝わる。 なお、アクション掲載時には、”この絵はこうのさんが本当に羽ペンで書きました”という編集部注が入っているという。 そう、漫画のためならなんだってやるのだ、この人は。

 すずの心配をよそに、この後、水原がイカダの世話になる恐れはない。 満身創痍で呉に帰投した青葉だったが、修理されることもなく、そのまま”防空砲台”として呉沖に留め置かれたのだ。 もう、燃料どころか、修理用の資材もなかったのである。

 この年の暮れ、12月30日に呉海軍工廠で密かに建造されていた伊四百潜水艦が竣工する。 伊四百は全長が122mもある大型の潜水艦で、艦内に「晴嵐」という専用攻撃機を3機収納できた。 海中を密かに進行し、敵地近くで浮上するや艦内の「晴嵐」を発進させ航空攻撃を加える。 作戦終了後は海上に帰還した晴嵐を速やかに回収し、再び海中に消えていくという、現在の潜水艦発射ミサイルの思想を先取りした画期的な兵器であった。 伊四百はもともとパナマ運河攻撃を念頭に開発されていたが、早速、僚艦の伊四百一とともに訓練に入る。 発艦および収納訓練が繰り返し実施されたほか、海中を別々に計器だけで航行して作戦ポイントで合流するという実戦想定の航海訓練も行われたが、乗組員の習熟不足か、あるいは計器の精度不良か、2艦が作戦ポイントで合流できたことは一度もなかったという。


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第21回 19年12月 [中巻]

「第21回 19年12月」 掲載’07年(H19年)12月18日号 (発売日 同年 12月4日ころ)

人妻を抱える水原

 これはマズイだろう。 いくら幼なじみでも、人妻抱えちゃいけんだろう。  

ハイテンションな水原

 すずからしても、今夜の水原はハイテンションすぎるようだ。 水原につられて地を出す すず。 北條家に来て初めて感情をあらわにする。 そのすずの変化を人一倍気にしてるのが周作だ。

活躍も沈没もしない青葉

 周作との会話で活躍することも死ぬことも出来なかったことを滲ませる水原。 確かに、青葉は主に輸送任務に就いており、華々しい戦績とは無縁だった。 ただ、度重なる小競り合いで徐々に傷を深めていく。 直前に行われたレイテ沖海戦では、当初はレイテ湾突入の本体だった栗田艦隊に編入されていたが、すぐに後方の輸送任務に回された。 機関部の損傷が完治せず、十分な速度の出ない青葉は”足手まとい”とされたのだ。 10月23日に米潜水艦の雷撃を受け、翌日も艦載機の攻撃により損傷した。 応急修理を済ませた青葉は、同じく大破した重巡「熊野」を曳航して日本に帰る任に就いたが、11月6日に熊野が米潜水艦の雷撃で大破。 青葉は泣く泣く、熊野を見捨てて帰国の途に就く。

靖国で会おう

 戦死した人々が英霊として祭られる靖国神社。

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 兵士たちは、「靖国で会おう」と言い残して出撃して行ったという逸話が多く残されている。 特に出撃=死を意味する特攻隊員の間ではこれは顕著であったようだ。 ”桜花”による特攻をした“神雷部隊”の話はとくに有名だ。 ”桜花”は特攻専用に作られた機体で、本体には離着陸機能はない。 一式陸攻という大型爆撃機の胴体下に固定されて出撃し、 敵艦の近くに来た時点で母機から分離した後、ロケットエンジンを噴射して一直線に敵艦めがけて体当たりするという、航空機というよりも有人ロケット弾といった方がふさわしい機体だ。 この人間の命を動力源とする機体は、アメリカ人の理解をはるかに超えていたようで、彼らがこの機体に付けたコードネームが”BAKA”である。

 神雷部隊の隊員たちは、「靖国神社の神門をくぐって二つ目の桜のもとで再会しよう」と言い残して出撃して行ったという。 この、神門をくぐって二つ目の桜は、現在は「神雷桜」として多くの人から大切に扱われている。

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 桜花による特攻は、その多くが敵艦にたどり着く前に母機の一式陸攻ごと撃墜された。 ちなみにこの前の月に撃沈された空母「信濃」が呉まで運んでいたのが桜花の機体だった。

 靖国神社に対する作者注は、”戦死者をまつっているとされる”と、少し懐疑的なようだ。 靖国神社を平和を祈念する場所ととるか、軍国主義の象徴ととるかは、受け取る人の立場によって異なることだろう。 

鍵を閉める周作

 このブログは男女の色恋ごとは専門外なので多くは語らないが、劇場版を見に行ったときに後ろに座っていたご婦人が、このシーンの時に大きな声で「なんで?」と言ったことだけ付け加えておこう。


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第20回 19年11月 [中巻]

「第20回 19年11月」 掲載’07年(H19年)12月4日号 (発売日 同年 11月20日ころ)

まるで萌え漫画

 いつもは1ページ目からストーリーが始まっているのに、今回は珍しく まるまる扉絵として使われている。 よく見ると、変則的なコマによって径子の働きぶりが紹介されているが、それもデザインの一部に見える。 まるで萌え漫画のような扉。 もんぺ萌えである。  

実は重要回

 今回は、全編が昭和の人生相談風に描かれているので、一見、変化球の回のように思えるが、実は物語後半へ向けてのカギとなる情報があちらこちらに散りばめられている大変重要な回だ。 もし劇場版の演出に瑕疵があるとするならば、それはリンのエピソードを削ったことではなく、この回のエピソードを削ったことだと私は個人的に思う。

径子が斬る!昭和人生相談

 小林の伯父さんから紹介された径子の勤め先はお寺さんだったことが明らかになる。 確かに、この時代、寺は唯一の成長産業だ。 猫の手も借りたいだろう。 家事は苦手なように描かれる径子だが、てきぱきと寺の仕事をこなしているようだ。 今回の人生相談は、寺を訪れた檀家さんとの会話で出た困りごとや不平・不満を、径子が受け答えをしている様子を表している。

 径子のアドバイスはとても的確で、どれも正論でバッサリと切り捨てている。 学生たちの不満には”挨拶で威圧しろ”。 これは第5回で径子自身がすずに実践したことだ。 一方で、金属供出を拒む夫(良人)に対する回答では、相手のメンツを立ててやる、径子の常識人としての一面が示される。(あ、”非国民”という言葉が出て来てる。) きっと、径子さんは檀家の皆さんから絶大な支持を集めたんだろうな。 ここで、さりげなく焼夷弾対策の情報が挿し込まれているのに注意。 文士崩れの質問には何か元ネタがあるのかもしれない。

異質な二つの相談

 今回の相談の中に、二つほど異質なものがある。 一つ目は径子自身が相談主となっているものだ。 相談相手は寺の住職。 相談内容自体は たわいもないすずへの不満であるが、ここではその内容よりも、径子も寺の住職に日ごろの不満や不平を聞いてもらえる環境にあるという事実だ。(あ、右ひざのつぎ当てに金魚!) これは後述するが、この回に隠された最大の情報の一つだ。 

ページ越しの添い寝

 家の外では社交的で強い独立した女性の顔を見せる径子も、家に帰れば、そして子供の前では一人の母である。 晴美を愛おしそうに見つめる径子。 そして二つ目の異質な相談は久夫のものだ。 これは架空の相談だ。 確かに久夫は母に会いたいと願っているだろう。 だが、この相談自体は径子の心の中の自問自答だ。

 ページ越しに添い寝をする母と子。  近そうに見えても絶対に手が届かない距離。 この親子の距離感を、漫画というメディアの構造を活かして絶妙に表している。 この回は、径子の人となりを、そして母親としての側面を丁寧に丁寧に描き込んでいる。 この回があるからこそ、この後、彼女が人生2回目にして最大の不幸に見舞われたときに思わず漏らした言葉、すずを苦しめ続ける言葉を発したとしても、読者は彼女を嫌いになれないのだ。

径子の勤め先が寺だった理由

 径子の勤め先が寺だったのは、作者から あらかじめ与えられた救いの手ではなかったのか? 径子が子を失った悲しみや義妹を傷つけたという後悔、そして素直に謝れない自分への怒りに苦しんでいる時に、そばに住職や坊守さんがいて、相談に乗ってもらえる環境にあったからこそ、彼女の心は救われ、成長し、そして結果的に すずの心をも救えたのだ。 「妹御の身の回りの物(ゴム入りのもんぺ)を送って、仲直りのきっかけにするんじゃよ」 これはきっと坊守さんのアイデアに違いない。

あやまちって?

 最後のすずの相談の”あやまち”という言葉に読者はドキリとする。 前回までに夫の秘密を知ってしまったすず。 何かしでかしたのかと思うと、こちらもたわいもないことで肩透かしを食らうが、ここでもう一つの重大情報が。 今回は人生相談の様式を取っているので、相談者の年齢が明らかになるのだ。 これこそが、今回こんなに凝った構成にしている最大の狙いではないかと思う。

まだ19歳

 けなげに主婦業をこなしているすずだが、読者はこの相談によって彼女がまだ19歳であることを再認識する。 少女というにはトウが立っているが、まだまだ年端もいかない娘である。 作者は、のちに過酷な運命に翻弄される彼女の年齢を今一度、読者に印象付けておきたかったのではないか? 

 また、すずと径子の年齢差も明らかになる。 径子が28歳なので9歳差。 これはこの時代の長姉と末妹の年の差として、何ら不思議ではない数字だが、すず-すみの1歳差の姉妹の関係とは当然違う。 径子からすれば すずはまだまだ子供である。 この時代、忙しい親に代わって、長女は末妹を半ば親のように面倒見をするのである。 ”実の妹御のように可愛がるべし”という住職の教え、この時は諦めてしまったが、物語終盤では実の妹のように、時には娘のように自然に接することが出来るようになる。 

パッチワークだ! 

 バラバラの端切れが見事な袢纏になるエンディング。 刈谷さんの径子を見る目が熱い。 現代風に言えばパッチワークだ。 と、ここで気が付く。 今回、変則的なコマは人生相談コーナーの枠を表していると思っていたのが、実はパッチワークの端切れだったのだ。 凝ってるー!! そこでもう一度読み直してみると、確かにこのコマは端切れで、いくつかのコマは糸で縫い合わされている。 それは72ページの径子と晴美、73ページのお母さんと晴美と径子、同 径子とすず、74ページの径子と住職、同 径子とすず(と刈谷さん)。 径子とその愛おしい人たちが結び付けられているのだ。 住職とつながっているのは、後に精神的にお世話になるからか? (私の脳内設定では、径子は戦後 檀家さんたちの強い希望で寺の跡取り息子と再婚することになっているのだが…)

私はたぶん、この回のことが話したくて当ブログを立ち上げたんだと思う。


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第19回 19年11月 [中巻]

「第19回 19年11月」 掲載 ’07年(H19年)11月20日号 (発売日 同年 11月6日ころ)

物思いにふけるリンとすず

 冒頭、対比されるリンとすず。 夜と昼、空と地、火鉢とバケツ、着飾ったリンと炭にまみれるすず。 

代用品

 食料も燃料も配給が細り、人々は代用品で我慢する。 あ、お父さん、「ぜいたくは敵だ」って言ってるよ。 たどんは私は見たことがない。 私らが子供の頃は、豆炭とか練炭とかが主流でした。

風呂に入れば

 周作にリンのことを尋ねようか迷う すず、でも言い出せないうちに風呂に入るように促される。 この夫婦の合言葉だな。

涙を隠す代用たどん

 このブログは男女間の色恋の類は専門外なので割愛... でも、親同士が決めた結婚。 自分が必死で愛そうと思った人にとって、自分は誰かの代用品に過ぎないのではないか? そんなことを思ってしまうと、自然と涙がこぼれ落ちる。 その涙を代用たどんの煙が隠す...

 タイミグ的には次回のほうが合ってますが、今回は書くことがあまりないので(次回はいっぱいある)、戦局について今回まとめて書きます。 

 11月24日、マリアナ諸島から飛び立ったB-29が東京に初爆撃。 武蔵野の中島飛行機武蔵野製作所が襲われた。 武蔵野製作所は終戦まで執拗に攻撃を受け、200名以上が亡くなられた。

 11月29日、横須賀から呉へ向かっていた空母「信濃」が米軍の潜水艦「アーチャーフィッシュ」の雷撃を受け、和歌山沖で沈没。 竣工からわずか10日後のことだった。 信濃は大和型戦艦の3番艦として建造が始まったが、太平洋戦争開戦により、急遽 空母へと改造されることになった。 完成した信濃は、その巨体(全長266.0m)の割には常時運用できる艦載機の数が42機と、同規模の赤城(全長260.67m)の66機、中型空母の飛龍(全長227.35m)の57機と較べ極端に少なかった。

 その搭載機数を犠牲にしてまで防御を高めた割には、たった4発の魚雷(普通の軍艦なら十分致命傷ではあるが)で沈んだ理由は、突貫工事のために水密ハッチや排水便が十分機能しなかったことに加え、魚雷による浸水で傾いた船体を水平にする操作において、通常なら進水した反対側のバラストエリアに注水するところを誤って同じ側に注水してしまい、艦の傾斜が一気に進んだためといわれている。

 いずれにせよ無事に呉に到着できたとしても、既に搭載できる航空機はなく、空母に着発艦出来る技量をもったパイロットもおらず、加えて、その巨体を操作できる乗組員もいなかった。


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第18回 19年10月 [中巻]

「第18回 19年10月」 掲載 ’07年(H19年)11月6日号 (発売日 同年 10月16日ころ)

働きに出る径子

 この回から径子が働きに出る。 留守番の晴美への注意事項は「今日はすずに近づくな」。 径子の洞察力の確かさ、子供の安全を守る指示の的確さがわかる。  あ、晴美が「お母ちゃん」って言ってる。 人前では「お母さん」と呼べと言われているのか? はたまた、二人きりになって甘えん坊になったのか?

被害者を増やすすず

 案の定、すずの攻撃を喰らってしまう晴美に堂本さん。 やはり、長いものを持ったすずの破壊力は半端じゃない。 

作者にとって”竹林”とは?

 槍用の竹を切り出す すず。 りんどうの咲く竹林で記憶の断片が繋がり、そして気が付いてしまう。 ここで、すずが物思いにふける場所として竹林が選ばれているのに注目。 竹を切り出す場面、そして りんどうは湿った場所を好むことから山道や竹藪が選ばれるのは必然ではあるが… 

 作者の「長い道」という作品には、主人公が密かに捜し続ける”竹林”という人物が登場する。 この「長い道」の登場人物は”道教”または”老荘思想”関連から名が取られているといわれている。 私は道教はあまり知らないんだけど、調べてみると”竹林の七賢”という言葉がある。 思想家が思いを巡らす場所として竹林はあるらしい。 「竹林」という名前は「長い道」のさらに前の「こっこさん」にも登場しているので、作者にとっては思い入れのあるワードなのかもしれない。

恐るおそる引出しを開けるすず

 56ページ目は、すずの視点から描かれている。 読者もすずと同じ気持ちになって、あの引出しを開けるのだ。 ノートが18年からとなっている。 すずの嫁入り話があったのと同じ年だ。 周作がリンと別れたのが、すずとの縁談の直前だったのかどうかはわからない。(長袖着てるけど)

竹槍訓練

 やはり、ご近所さんも すずの危険性に気付いている竹槍訓練。 晴美も参加していることに注目。 竹槍訓練は19年8月4日の「一億国民総武装」閣議決定により始まった。 本土決戦を想定したものだ。 降伏など許されない、女子供も徹底抗戦するのだ。 この竹槍訓練に対し、「竹槍より飛行機だ」と、ごく真っ当な記事を掲載した毎日新聞は発行禁止となり、執筆した記者は戦場送りとなった。 その時、日本は北朝鮮だったのだ。

 この10月、23日から26日にかけて”捷一号”作戦、いわゆるレイテ沖海戦が行われた。 囮となった戦艦武蔵はレイテ湾内に突入、20発におよぶ雷爆撃を受け24日19時55分に沈没。 レイテ湾突入の機会を窺っていた大和を擁する栗田艦隊は25日朝、レイテ湾東方のサマール島沖で敵の護衛空母部隊を発見、直ちに砲撃戦に入る。 この時、大和の主砲が初めて敵艦に向かって発射された。 大和の主砲弾は敵護衛空母ガンビアベイに炸裂したが、空母とは名ばかり、民間の輸送船を改造しただけの敵艦の装甲は薄く、大和の弾は船体を突き抜けてから爆発したという逸話が残っている。 

 もっとも、この話は史実ではなく、ガンビアベイは足の速い高速戦艦「金剛」、「榛名」によって撃沈されたのであって、大和の砲弾は、副砲の弾が敵の駆逐艦に当たったくらいだと言われている。 これは、世界一の戦艦に何の武功も無いのは忍びないと、後の人が書き加えた話なのかもしれない。 栗田艦隊はこの戦いの後、いったんレイテ湾に向かうが、突如反転して戦線を離脱する。 もし突入していれば米軍艦隊に大打撃を与えたのは必至といわれ、何故戦線離脱したのかは現在も不明で、太平洋戦争最大の謎とも言われている。 この敗北により、栄光の帝国海軍はほぼ壊滅状態となる。


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第17回 19年10月 [中巻]

「第17回 19年10月」 掲載 ’07年(H19年)10月16日号 (発売日 同年 10月2日ころ)

昔話風

 昔話風に始まる今回。 仲人の小林の伯父さん夫婦子供は兵隊とヨメに行っていることが分かる。 さらりと書かれているので気付きにくいが、適齢期の娘が嫁に行くのと同じくらい成年男子が兵隊にとられるのが普通ということ。 北條家ばかり見ていたら気付きにくいことだ。 また、空襲はまだだが、警報が頻繁に出されるようになったこともわかる。 

周作の未練

 伯父さんの荷物を収納するついでに衣替え。 そこで、りんどう柄の茶碗を見つけるすず。 ここでピーンときた読者もいるだろう。 私は気付いたかな? あれ、忘れちゃった。

径子の就職

 伯父さんが径子の勤め先の紹介状を持ってくる。 径子の就職先は第20回で判る。

伯母さんの話に引く家族

 すずを褒めるついでに、さらりと周作の過去を喋っちゃう伯母さん。 褒められたことに照れるすずと、どん引いている家族(晴美以外)の対比が面白い。 径子が機転を利かして話をそらしている。 径子は意外とこういう気配りのできる人だ。

 伯母さんは、いわゆる世話好きおばさんなんだな。 径子にもいい縁談を持ってくると言って、やんわりと断られている。 こういうおばさんが今の世の中には必要だ。

降りられなくなった周作

 気まずくて、降りるに降りられなくなった周作。 意外と女々しい。 そういえば、「冬の記憶」の時は泣き虫だったな。 5歳上に勝気な姉がいて性格が捻じ曲げられたのだろう。 

 ”ヨメさんのために買った”というのを、また自分のことと勘違いするすず。 第15回のときにはリンのことを吹っ切ったように見えたのだが、まだ心残りがあるのだろうか? というよりも、未練たらしく茶碗を取っておいた自分が情けないのか?

19年10月、帝国海軍がその威信を賭けた最後の大一番、「捷一号作戦」が発動される。 これが、日露戦争以来の栄華を誇った連合艦隊の最後の戦いとなる。


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第16回 19年9月 [中巻]

「第19回 19年9月」 掲載 ’07年(H19年)10月2日号 (発売日 同年9月18日ころ)

字が読めないリンとあいすが描けないすず

 産院に寄った後、再び会う二人。 劇場版では描かれなかったお菓子の絵を届けるシーン。 リンは小学校に半年しか行ってないのでカタカナしか読めないということだが、学校をやめたきっかけは母の死? いつ奉公に出されたか、どれだけ彷徨ったかにもよるが、リンがすずより年下の可能性もある。 余談だが、久夫と同い年の私の母も中学校を二日しか行っていない。 親が死んで翌日からは長男と長女が働きに出、次女だった私の母は下の7人の弟・妹の世話をしたのだ。 朝鮮動乱直前の25年4月のことだ。

 結局、あいすくりいむが描けなかったすず。 でも下巻の”右手”は…

リンは職業婦人

 例のノートの切れ端に書かれたリンの身上書。 ここですずは初めてリンの名前を知ることとなるが、リンの職業が”二葉館”の従業員。 わが国では33年4月に「売春防止法」が施行されるまで売春は合法で、れっきとした職業だったのだ。 だから、リンの身分は”職業婦人”なのだ。

リンは気付く

 今度はすずの自己紹介。 リンの反応、「ほー じょー」の後が不自然に長い。 リンは”長之木から来た北條”さんで、まず周作のことに想いを巡らし、そして隣の優しい娘のことについて考える。 妹ではないと直感する。 すずが周作のことを”夫”と言った後の反応がやや短いのは、ああやっぱりそうかという確認なのだ。 

戦時下無月経症

 子供が出来なかったことをリンに相談するすず。 すずの症状は、想像妊娠といった生易しいものではなく、過度の栄養失調とストレスからくる無月経症であることが作者注で説明される。 実は平和な現代においても、トップ女性アスリートの間に同様な症状があることが知られている。 カロリー制限と過酷な運動、そして、やはり強烈なストレスからくる”スポーツ無月経症”というやつだ。 ”うらやましい”というリンのお気楽な感想に反して、骨粗しょう症による骨折のリスクがあることが知られており、こちらも深刻な問題となっている。 すずたち戦時下の女性は吉田沙保里並みの強烈なストレスとプレッシャーにさらされているのだ。(吉田さんがそれかどうかは知りませんが) 

まるで噛みあわない二人の会話

 ヨメの義務に関しての二人の会話がまるで噛みあわないのが面白い。 リンは意地悪で言っているのではなく、あくまでも自身の経験の範囲で率直な意見を言っているに過ぎない。 それだけ、この二人の置かれている境遇は違うのだ。

売られた子はリン自身

 女の子は高く売れるしねぇというリンのセリフ。 のちに読者は、それが自分自身のことを言っていると気付く。 本当に、リンは自分の経験した世界のことを素直に話しているのだ。

名前で呼び合う二人

 この二人、いつしか名前で呼び合うようになる。 すずが長之木では”北條のヨメさん”と呼ばれ続けるのとは対照的に。 お互いの職業や肩書ではなく、相手の人柄に惹かれあっているのだ。

リンの居場所は?

 ”何かが足らんぐらいで、この世界に居場所はそうそう無うなりゃせん”とのリンの言葉に安堵するすず。 ここで疑問、リンは今の世界が自分の居場所と受け入れているのだろうか?

 親に売られ、奉公先から逃げ出し、ほうぼうをさまよったリン。 草津で幼いすずやおばあちゃんに情けをかけてもらい、流れ着いた呉で遊郭のスカウトおばばに拾われたリン。 そして、二葉館では周作に束の間の夢を見させてもらった。 自分が見た束の間の夢を、朝日町に来る男たちに見させてあげようとしているのか?

遊郭から出る方法

 この時代の遊郭にいる女は、借金のカタに肉親に売られたか、食うために自ら廓の門をくぐった者たちだ。 この女たちが再び外の世界に戻る方法は主に三つある。 一つ目は、自身の稼ぎで借金(含む補償金)を返済すること。 気の遠くなるような年月がかかるだろう。 二つ目は、どこかのお大尽に”お身請け”してもらうこと。 この場合は、大金持ちの3号さんか4号さんくらいがせいぜいで(2号さんは超一流芸者など)、周作のようなまっとうな公務員の正妻に迎えられるのは超レアケース。 リンにとっては夢のような話しだが、遊郭の女であるリンは、またそれが儚い夢であることも知っている。 こんな自分を気に留めてくれた人がいたという事実がリンの心の支えなのだ。 そして、その人は”シアワセになったかなぁ”と、日々、思いを巡らせていたのだろう。 

 そして今日、偶然にもその思い人の”妻”なる人が自分の前に現れた。 この自分にも心を素直に開いてくれる、心の優しい大変良い娘のようだ。 もう、あの人のことは”心配しなくてすむ”のだろうか? 二葉館の2階からすずを見送るリンの心の中、私にはそう思っているように見える。

 遊郭から出る三つ目の道、それは客から労咳や梅毒などの悪い病気をもらい、棺桶に中に入って出る方法だ。 のちのテルのように。

 そして、この時代に限って言えば、もう一つだけ方法がある。 それは別の回の時に。 


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第15回 19年9月 [中巻]

「第15回 19年9月」 掲載 ’07年(H19年)9月18日号 (発売日 同年 9月4日ころ)

書斎が寝室

 冒頭、寝床でそれぞれの調べものをする夫婦。 寝室が6畳から書斎に移っている。 径子たちが(里帰り期間中から)客間を使っているのだろう。 また、襖一つ隔てただけの隣の居間にはお父さんたちがいる。

あのノート

 さりげなく残されるノート。 いや、布団を上げてる時に気付くでしょ! 布団を上げた後に周作がわざと置いたのかな? ノートの切欠きが強調される。 知多さんからの電話の呼び出し。 昔は電話は借りるものだった。 うちに電話が来たのも40年代の終わりだったな。

初デートは雑炊食堂?

 初デートに浮かれるすず。 世が世ならカフェーであいすくりいむを食べさせてもらったんでしょうが。 この時代、”ぜいたくは敵だ!”なんだけど、戦意高揚のための映画館は隆盛。 食堂は食券制で、そんなに自由食べられたわけじゃない。 粗末な雑炊を出す、”雑炊食堂”だけが唯一、自由に食事できる場所...なんだけど、久々の陸を楽しむ水兵さんに譲って映画も食事もなし。

小春橋から

 堺川にかかる小春橋の上で語り合う二人。 旧知の水原に会ったら夢が覚めるのではないかと危惧するすず。 また夢オチネタ? 怖い怖い。 ここでいう”お友達”とは隣組じゃなくてリンのこと。 作者自身が、”リンはすずが呉でつくった初めての友達”と言われている。

選ばなかった道は

 ”過ぎた事 選ばんかった道 みな 覚めた夢と変わりゃせんな”という周作のセリフには二つの意味があると思う。 一つは、選ばなかったリンとのことは、周作的には既に終わったこと、ということ。 これは、実に男子的な考えだ。 でも、女子はそうはいかない。

 もう一つは、選んだ道は現実として消せない、という意味。 それがどんなに愚かな決断で、どんな悲しい結末を迎えようとも、責任を持って受け入れなければいけない。 これは、この作品の大きなメッセージのような気がする。  

男女の差 

 食が進まないことから自身の妊娠の可能性に気付く すず。 そして、一拍遅れて気付く周作。 ここにも男女の感じ方の差が揶揄されている。 この作品を読み解く上でこの男女間の感じ方の差は、結構 大きな大きな障害になっていく。  


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第14回 19年8月 [中巻]

「第14回 19年8月」 掲載 ’07年(H19年)9月4日号 (発売日 同年8月21日ころ)

迷子になったすず

 朝日町で迷子になったすず。 途方に暮れて地面に描くのは 夫でも懐かしい広島の故郷でもない、すいかとキャラメル。 すいかは先ほどの闇市で見たばかり。 いずれも幼い日の思い出の味だ。 やっぱり、口には出さないけど質素な代用食ばかりでひもじいのかな?

リンとりん

 すいかの絵が縁でリンと知り合う。 作者のデビュー作で、リニューアルや掲載誌変更を経て、実に11年半にもわたって描き続けられた「街角花だより」。 この作品には、おっとりした店長のツッコミ役で”りん(凜)”という女性が登場する。 恋愛欲旺盛で、バイト先の花屋の売上アップのためには、男をたぶらかすこともいとわない彼女だが、一番新しいエピソードである「コスモス日和」(2007年1月)の回のりんは、時おり リンを彷彿させる表情もする。 作者は後半の展開に欠かせない重要なこの役に、あえて馴染みあるキャラクターを使ったのであろうか? 

 容姿という点では、「さんさん録」の仙川さんにもリンの面影を見ることが出来る。 この3人は、主人公とその家族に複雑な恋愛感情を持つという共通点もある。 だが、容姿がよく似ているこのこの3人も、リンとほかの二人では性格が若干異なるように思える。

216.jpg

 これは、こうのさんの漫画に登場する女性キャラの性格と恋愛嗜好を自分なりに分類してみたものだ。 こうのさんのキャラは複雑で、一見おとなしそうな人でもその内には激情を秘めている。 また、からむ相手によってもその感情表現は変わってくるので、これはごく一般的な分類だと思ってください。(あくまでも個人の感想です)

 こうの漫画では、おっとりした主人公に活発な美人キャラが突っ込むというパターンが多いので、主人公は第Ⅳ象限側、ツッコミ側は第Ⅰ象限側にいるが、リンはどこの象限なのだろう。 外見的には派手なおねーさんなのだが、意外と奥ゆかしい。 男を誘うけども、それはあくまでも営業だし、時たまボーっとしているように見えるのは すずの言葉の中に周作の影を見出した時だ。 リンからは周作への”思い”と すずへの”思いやり”は感じることが出来るのだが、本当はどういう娘なのかよくわからない。 そういえば、リン本人は実質3回しか登場してない! 刈谷さんの息子さん並の希少キャラなのだ。

 ちなみに、以下はこうの漫画の作品のつながりを示した図です。

221.jpg 

 気付いた分だけですが、けっこう作品間のつながりがありますね。 ”すず”さんとやよいちゃんの鈴に関係があるのかどうか? 

途中まで知っている

 リンは長ノ木までの帰り道を途中まで知っている。 長ノ木の人が、どこの角を曲がって この遊郭の街から出ていくのかを。 この遊郭の街が、リンの世界のすべてなのだ。 

ようやく気付く

 21~22ページまでのやり取りで、ようやくすずもこの街が何なのかを気付いたみたい。 でも、リンに対する態度は最後まで変えない。 

端切れの記憶 再び

 すずの着ていたアッパッパ(昔おばあちゃんにもらった着物)の柄から、広島の出ではないかと問うリン。 いくら戦前で物流が発達していないからと言って、この関連付けはいささか強引に思える。 劇場版のスタッフもそう思ったようで、映画では広島と呉の訛りの差に置き換えられている。 一方で、リンは本当にごく限られた世界の片隅しか知らないんだと考えることも出来る。 

すいかの思い出とあいすくりぃむ

 別れ際、本当に恥ずかしそうにすいかの絵をねだるリン。 リンの人となりがわかる貴重なエピソードだ。 どんな時代でも、そんな境遇においても、子供のころに食べた味は忘れられないものだ。 私は最終回に出てくる俵型の海苔むすびが食べたい。 お弁当箱に入って、海苔がふやけてるやつ。 カンザシ代わりに鉛筆を髪に挿しているすず。 生まれながらの絵描きだ。 一方、鉛筆など持っていない(字書けないし)リンは、はじめ紅筆で描いてと言っていた。 「りんどうの秘密」の回につながってる。 そういえば、すずがあいすくりぃむを食べられるのはいつ頃だろう。 朝鮮動乱で景気が上向く25年以降か?

ていねいに描かれる帰路

 また来るというすずに、やさしく、そして厳しく ”こんな所へさいさい来るもんじゃない”というリン。 この町の正体を知っても自分への態度を変えなかった優しい娘に、住む世界が違うということを伝えるのだ。 この時、二人はまだお互いの名前を知らない。(リンの名は呼ばれているのだが、すずは聞き逃している) 

 郵便局の角を曲がって、いまも残る三ツ蔵の前に出てくる帰り道が、1ページまるまま使って丁寧に描かれる。 別の世界に迷い込んだおとぎ話のヒロインが自分のいる世界へ戻る過程を表しているようだ。 帰り道のすずの顔から笑みがこぼれているのは、無事に家に帰れる安堵からだけではないはずだ。

8月4日、「一億国民総武装」閣議決定。 あの竹槍訓練が始まる。

8月10日、グアム島守備隊全滅。 8月23日、「女子挺身勤労令」「学徒勤労令」公布。 自主的だった挺身隊の勤労奉仕活動が強制化される。 終戦時の女子勤労隊員は約47万人と言われる。 


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